オマケ
シエラに縋りついていたビクトール、やがて泣きやむ。
シエラ「………少しは、気が晴れたかえ?」
ビクトール、照れくさそうに顔を上げる。
ビクトール「あぁ、おかげでスッキリした。悪かったな、抱きついちまって」
両手を上げて、ビクトール、シエラを解放する。
シエラ、にこりと笑みを返す。
シエラ「気にすることはないぞ。わらわもおんしに用があるのでな」
ビクトール「は?」
ビクトール、突然、身体が動かなくなる。かろうじて動くのは、口と目のみ。
ビクトール「シ、シエラ……なに、を………」
シエラ「金縛りをかけさせてもらった」
ビクトール「な、なんで……」
シエラ「どうにも小僧の人使いが荒くてのぉ。少し、血が必要なのじゃ」
回想、開始。
クロムの村長宅の食堂。テーブルには、ゴクウ、アイリ、ルック、シエラの四人がいた。
シエラ「ゴクウ、星辰剣を持つあの男、名前はなんと言うたかの」
ゴクウ「ビクトールだよ」
シエラ「……ふむ……。あ奴もネクロードに恨みを持つ者か………」
ゴクウとアイリ、ノースウィンドウの廃墟でネクロードに遭遇したビクトールの様子を思い出し、暗い表情になる。
シエラ「………どうした……?」
アイリ「あ、一度、ネクロードを追いつめたときのことを思い出して………」
シエラ「紋章を取り返しておらぬでは、易々と逃してしまったであろ。彼奴の小賢しさは、人間ごときに太刀打ちできるものではないわ」
ゴクウ「………うん。……ビクトール、すごく、すごく口惜しそうだった………」
シエラ「ほぉ……。………あの男、見かけによらず、深いようじゃな………」
いままで黙っていたルック、口を開く。
ルック「自分のことは話したがらないから、こっちは推測するしかないけどね。………他人に対しては、あんなにお節介焼きなのに」
シエラ「…………」
シエラ、しばし、物思いに耽る。
アイリ「ゴクウ、そういえば、レオナさんがティント市につれてくメンバーはどうするのか訊いてたよ」
ゴクウ「……う〜んと、俺とビクトールとカーンとルックで四人だよね」
ルック「また、僕もか………」
ぼやくルックに、ゴクウ、にっこり笑う。
ゴクウ「当然だろ。“破魔の紋章”つけてるんだから」
ルック「外してくれて良いよ」
ゴクウ、ルックの言い分を無視。
ゴクウ「それから、シエラさんとアイリで六人。ナナミは同行者で決まり」
シエラ、名前を呼ばれて我に返る。
シエラ「わらわもか?」
ゴクウ「うん。一発くらい、ネクロードをぶん殴っておきたいでしょ」
シエラ、渋面。しばらくして、意味ありげな笑顔に変わる。
シエラ「…………。わらわも戦いのメンバーに入れるのなら、血が必要じゃ。今日、散々、魔力を使ったのでな。補給ができぬとなれば、明日はわらわはついていくだけじゃ。あてにするでないぞ」
ゴクウ、怖ず怖ずと。
ゴクウ「え……っと、どれくらい……?」
シエラ「そう、心配せずとも良い。人が一度に飲める量などたかが知れておろう。わらわは食が細いゆえ、コップ一杯分も飲めれば充分じゃ」
ルック、平然と。
ルック「ビクトールが一等、血の気が多いから、献血してもらえば」
ゴクウとアイリ、顔を見あわせてルックの毒舌に溜め息。
回想、終了。
シエラ「というわけじゃ」
ビクトール「ルックの、野郎……!!」
ビクトール、膝をついて両手を上げたまま唸る。
シエラ、ビクトールの肩に手を置き、首筋に顔を近づけながら。
シエラ「わらわとて、おんしのような熊男はまったく好みではないのじゃが、背に腹は代えられぬしの」
ビクトール「悪かったな、熊男で」
ビクトール、一瞬の痛みと柔らかい唇の感触に動転する。
ビクトール(………参ったな………)
シエラ、思いのほか美味な血に目を瞠る。
シエラ(………ほんに人は見かけによらぬものじゃ………)
深みにはまったのは、さて、どっち……?
おしまい
オマケなのに、こんなに長くなってしまいました。しかも、本編主役の二人はちっとも出てこず………(^^;)
アイリ、大好き(^^) 一周目はパーティに入れられるようになってから、片時も外したことがないのです。『外伝2』でも、出てきてくれて嬉しかったなぁ(*^_^*)
ビクトールは、私イメージ『自分の眼鏡(レベル高し)に叶えば、男も女も見境なし!』です(爆) リィナはちょっと眼鏡に叶わなかったようでした。リィナの気持ちも、ちょっと気になった人、くらいでありますが。
ビクトールとシエラが一緒にお酒を飲む間柄だとは、某キャラクターガイドを読むまで知りませんでした(^^;) で、こんなエピソードを勝手に考えてみたら、『外伝1』のナッシュ登場でさらにビックリ。ビクトールの格好良さに、ナッシュはまだまだ勝てないと思うデス。うちでは断然ビクトール×シエラがイチ押しですが、読む分にはナッシュ×シエラ、クラウス×シエラも可(笑)
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