泣かないで、泣かないで………。
お願いだから………。 作り物の僕なんかのために、
そんな綺麗な涙を見せないで………。
こうなることは、 わかっていたこと。君にも、
視えていたはず。 君の手に
かかるなら、 それもまた、 本望……。
だから、もう 泣かないで…………。
「We've been so together ...!」
胸はり裂ける想いで、君がそう叫んだのか………。
愛おしさと懐かしさに、僕がそう呟いたのか………。
靄がかかった夢の中では、とても判別できなかった。
「ルック……!」
激しく揺さぶられて、目が覚めた。
「な……に……?」
ぼんやりと目を開けるが、視界が朧でルックは瞬きをくり返した。
「大丈夫か? 怖い夢でも見たのか?」
心配そうなルキアの声と、一向にはっきりしない視界に焦れて、ルックは目を擦る。指先が濡れて、動きが止まった。
「………なんで、僕が泣いてるのさ……?」
「それはこっちの台詞なんだけど」
返ってきた答えに脱力して、ルキアはベッドに身体を沈めた。ルックはシーツの端で涙を拭い、視線をめぐらす。
見慣れた天井。およそ生活感とは縁遠い自分の部屋。窓からは、ぼんやりと白い光が弱く射しこんでいる。
「……まだ、明け方……?」
少し掠れる声で訊けば、するりと左腕を首の下に潜らせて、ルキアは抱き寄せてきた。
「うん。起きるには早いよ」
「…………起こして、ごめん」
縋りつくように身体を寄せてきたルックを、ルキアはやんわりと抱きしめる。
「こっちこそ、気づくのが遅れてすまない。……嫌な夢でも見たのか……?」
言葉を替えて、再度、訊けば。
「…………」
腕の中でルックは沈黙を守る。
「ルック……?」
「………よく、覚えてないよ、もう……」
顔を上げると、間近にルキアの笑顔がある。
朧な夢のことは本当にもう覚えていない。ただ、この誰よりも愛おしい笑顔が何処にもなかったこと、涙にくれていたことだけが、鮮明に記憶にある。
そっと頬に触れてきた冷たい指先に、ルキアは自分の手を重ねた。
「……ルック、トランではね、夢は他人(ひと)に聞いてもらうとその通りにはならないって言われてるよ……」
その声に背中を押されたのか、躊躇うように目を伏せながら、ゆっくりと唇が動いた。
「…………君が、泣いていた………」
ルキアはただじっとルックの言葉を聞いていた。
「なんでかな……。はっきりともう、覚えてない………。……ただ、僕なんかのために泣かないでって言った言葉は、君に届かなかった………」
「………じゃあ、もう、お前の声が私に届かないなんてことはないな」
論旨をさらりとすげ替えられたが、ルックも追求はしない。
傍らにこの温もりがあるときは、未来(さき)のことなど考えたくない。
「あやふやなことなんて、もう良いよ……」
会話をうち切って寝直すために、ルックは目を閉じた。ルキアも同意するように微笑む。
「そうだな……」
腕の中に抱きこんだまま、ルキアはルックが寝つくのを待った。
少しずつ、部屋に射しこむ光が強くなるのを見ながら、ルックの穏やかな寝息を聞く。
もう悪夢にうなされていないことを確認して、ホッと吐息が零れた。
「『あんなに一緒だったのに……!』なんて、私も叫びたくないよ………」
END
サイト移転リニューアルオープン記念企画で、蔵書『想いを、時間を止めた花にして・・・』のクイズに正解された方の中から、抽選で二名様にキリ番『800』と『1000』を進呈させていただきました。
『800』をゲットされた華夜様からのリクエスト『明け方が舞台の坊ルク』です。いかがでしたでしょうか?
深読み推奨な話ですみませんでした(爆) だって、『明け方』だし・・・(;'-') 一応、華夜様から許可をいただいた上で書きました。
零れるような、泡のようにポッと浮かぶような、そんな想いの羅列を窓硝子をつたう雫のように表現したかったので、冒頭はあんな配置になっています。横書きだと効果激減(≧△≦)
See-Sawのあの歌が大好きで、タイトルを拝借しました。私にとっての坊ルクソングです('-'*) 翻訳ソフトを使って英語にしましたが、違ってたら至急ご連絡ください! 英作文は大の苦手でした(>_<)
小妹に、「大姐のルックはビッキーに『私とルキアさん、どっちが大事なの!?』って迫られたら、『ルキア』って答えそうだよね!」と言われたことがあります。その時は、「そんなことないよ〜、あはは」って笑って返事をしたけれど。・・・ごめん、ビッキー、うちのルックはキッパリそう言うわ、てか言ってまったわ(爆)
復刊するにあたり、壁紙を選び直してみました。月だけど(;'-')
華夜様には喜んでいただけてホッとしました。リクエスト、ありがとうございます(*^_^*)
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