Dia dos Namorados/que 2



 燦々と降り注ぐ陽の光。海を渡る爽やかな風。舳先に近い甲板にすわり、階段を机代わりにしてキカは書き物をしていた。その膝を枕にして、レイブンが穏やかな寝息を立てている。
「…………」
 それを遠目に眺めて、テッドは呆れたように溜め息を吐いた。
「テッド、なに見てるの?」
 後ろからフレアに声をかけられて、テッドは行儀悪く顎で舳先の方向を示す。視線を向けたフレアは小さく笑い声を零した。
「あら、まぁ……」
「意外とあの女船長も甘いんだな」
「………“罰の紋章”の前の宿主がキカさんの仲間だったそうよ。それで、なにかと世話を焼きたくなってしまうんだって……」
「へぇ……」
「それがどう転んであぁなったのかまでは、さすがに野暮だと思ったから訊かなかったわ」
 くるりとテッドがフレアに顔を向ける。
「な、なによ……」
 悪童のように笑うテッドに、フレアは思わず一歩後退る。
「いや、王女様でも人の色恋沙汰に首を突っこむのは野暮だって知ってるんだなぁって思ってさ」
「そんなこと、王女は関係ないでしょ……!」
 頬をふくらませるフレアの頭を、テッドは乱暴に撫でて舳先とは逆方向に足を向ける。
「もう、テッド……!」
 軽く背中を叩いても、テッドはただ笑うだけ。これならどうだと腕を絡めれば、呆れたような溜め息だけが返ってきて、腕を振り解かれることはなかった。
「………お前、ほんと、物好き…………」
「なにか、言った?」
「なんでもねぇよ……」
「…………。蓼食う虫も好き好き……」
 ぽそりと呟いた言葉は、テッドに届いていたようだ。
「お前なぁ……」
 テッドはフレアの額を指先で弾いた。
「いったぁ……」
 思わず腕を放してフレアは両手で額をさする。スタスタと歩くテッドの背中を恨めしそうに見つめていると、ピタリと止まった。
「今日のランチはお前の奢りだ」
 顔だけチラリとこちらを向いて理不尽な宣告を受けたにも関わらず、フレアは頬が緩むのを止められない。
「しょうがないわね………」
 でも、口調はわざとつっけんどんに。やれやれ、と年寄りじみた吐息が癪に障るから。だが、それを口にしたらまた額を突かれるので、フレアは黙って、けど上機嫌で、テッドの隣を歩いた。
END




 恋人の日にちなんで、4様×キカと見せかけてテッド×フレアでした(;'-') いかがでしたでしょうか?

 なんかこのカプ書くの楽しくなってきてる(笑) さらっと書く分には暗くならないから良いな('-'*)