オマケ


 そろそろ朝市が始まろうかという時間帯。店のドアを叩く音がした。ジーンが扉を開けると、立っていたのはルキア。
「おはよう、ジーン。テッドがいるって聞いて迎えに来たんだけど」
 朝、ルキアが起きるとテッドの姿はなく、代わりにジーンの使い魔から伝言があったのだ。
「おはよう、ルキア。えぇ、まだ寝ているけれど。起こす?」
 ルキアにジトッと半眼で見つめられた。
「なにか誤解しているのなら一応言っておくけれど、なにもないわよ。昨夜は棚卸しの仕事を頼んでいたの。テッドは忘れてたみたいで、此処へ来たのは夜更けだったけれどね」
「ふぅん……。じゃあ、お腹空かせてるよね……?」
「そうね」
 上位紋章球を一つ潰して治療した反動で、身体はエネルギーを欲しているだろう。もちろん、そんなことはおくびにも出さずにジーンは頷いた。
「良かった、グレミオがテッドの分も朝食を用意してるから無駄にならずに済む」
「待ってて。起こしてくるわ」
 にこりと笑って、ジーンは奥の部屋へ向かった。
 長椅子に眠るテッドをゆり起こす。
「テッド、起きなさい。ルキアが迎えに来ているわ」
「…………。え……!?」
 パチッと目を覚ましたテッドは、慌てたように上体を起こした。
「おはよう、よく眠れたみたいね」
「お、おはよう、ジーンさん………。何時?」
「朝市の立つ頃ね。ルキアが迎えに来てるわよ」
「あ……」
 まだ屋敷を抜け出した言い訳を考えていない。焦るテッドに、軽く溜め息を吐いてジーンは言った。
「店の棚卸しの仕事をやってもらうことになっていたって言っておいたわ。あなたはそれを忘れてて、夜遅くなったって」
「………ほんと、恩に着ます………」
「……もう、大丈夫かしら?」
 なにをとは言わなかったが、言外に込めた意味は深い。それを正確に汲み取って、テッドは頷いた。
「なら、良いわ。さすがに、上位紋章球を二つも割るのは勘弁して欲しいところだから………」
「反省してる」
 神妙に頭を下げたところで、腹の虫が盛大に鳴った。ジーンはクスクスと笑い声をもらす。
「あなたの分の朝食もあるそうよ」
「やった……!」
 テッドは元気よく走り出した。
「ありがとな、ジーンさん!」
 肩越しに手を振るテッドに、ジーンは手を振り返した。
 店先の少年たちの賑やかな声が次第に遠ざかっていく。
 ジーンにとって、それが、彼を見た最後だった。
おしまい





 ルキアが『想いの結び目』であんなことになってたのなら、テッドはどうだったか、と解説のようなお話でしたがいかがでしたでしょうか?
 『4』ではまったく絡みのなかったテッドとジーンですが、私、パーティが4様、キカ、テッド、ジーンのほぼ固定だったので、絡んでないわけがなくてですね(笑)
 次は、やっぱり『伝言』の話を上げられたら良いなぁ、と希望的予告(;'-')

 ルキアが紋章球二つ潰したのに対して、テッドが一つで済んだのはひとえに経験の差です。

 それにしても。
 このオマケは想定外でした(≧△≦) いつものごとく、軽いノリで〆るはずが、なしてこうなった・・・(ノ_<。)