オマケ


 セイカの寺子屋でマッシュに会えたものの、けんもほろろに突き放された帰り道。
「お前の笑顔に落ちない奴なんているんだなぁ」
 ビクトールがお手上げだと肩をすくめた。だが、ルキアにはへこたれた様子はない。
「ちゃんと落としたよ。無表情でも充分だったくらいさ。もっと早く、彼があのマッシュだと思い出していれば良かった」
「あ?」
 見下ろせば、いつもの自信満々の笑顔。
「血の記憶は甘くないんだ、ビクトール。時に恐ろしい呪縛になる。哀しいかな、あの男もそれからは逃れられなかった」
「さっき、冷たく帰れと言われたのは俺の聞き間違いか?」
「あの家系は天の邪鬼なんだよ。メンツを保ってやれば良いのさ。ほら、お誂え向きの奴らが来た」
 ルキアの指さした方向から、帝国兵たちがぞろぞろとやってくる。一瞬、ビクトールは追っ手かと身構えたが、彼らはこちらには見向きもせずに横柄に通り過ぎていった。
「じゃ、戻るよ」
 このあと、ルキアの言ったとおりの展開になり、ビクトールは唖然とした。マッシュがオデッサの兄だということにも驚愕だ。
 再び、ビクトールは問う。
「シルバーバーグ家はマクドール家に逆らえないってのが、お前が言っていた血の記憶なのか?」
「『逆らえない』は違うな。『憎めない』だよ、ビクトール」
「じゃあ、逆にマクドール家はシルバーバーグ家に対してなんかあんのか?」
 ルキアはとっておきの惚れ惚れする笑顔で答えた。
「からかわずにはいられないんだ」
 ようやくビクトールは理解する。ルキアがなにかとオデッサにかまけていたのは、フリックの反応を楽しんでいたのではなく、オデッサ本人で遊んでいたのだ、と。
おしまい





 フランス映画並みのえっちぃシーンを一行で済ませた(爆) いかがでしたでしょうか?(;'-')

 最初に浮かんだのが、マッシュが虫の息でルキアに「あなたに喰われたい」と言うシーンで、そこからこねてできあがりました。『食べる』という意味では、マッシュが最初だったのではないかな、と私は思っています。最初の四人はあくまでも封印を解くための贄だったので。

 オマケはマクドール家の家訓絡みで、もう最初っかららぶらぶだったのよという補足(笑) マッシュが自分がオデッサの兄だと告白する前に、ルキアはすでに知っていたんじゃないかと思うデス。社交界デビュー済みだったし。シルバーバーグ家もマクドール家に対してなにかしら家訓はあったかも知れないですね(笑)