オマケ
オベル王宮の裏庭で、イシスは花壇の手入れをしていた。ふと、人の気配に振り返ると、いつの間にかレイブンが立っていた。
「久しぶり、イシス」
「大叔父様……! おかえりなさい!」
駆けよって、イシスはレイブンに抱きついた。
「ただいま」
くすぐったそうに言葉を返して、レイブンはイシスをしっかりと抱き止めた。
王宮の一角には、何十年も使われないときもあったが、レイブンの部屋がいまでもちゃんとあった。
そこに場所を移して、レイブンとイシスはお茶を楽しむ。
テーブルの上にはお茶セットの他に、両手に収まりそうな不思議なプレートがあった。紙切れを硝子のような物で覆ったプレート。紙には、三人の人物が描かれている。いや、絵と呼ぶにはあまりにも鮮明なそれは、かつての仲間であるオレーグの発明品からできた物だった。
「大叔父様、私、振られてしまいました」
紙に載っている中央の女性によく似たイシスは、プレートを愛しそうに指でなぞりながら、ぽつりとそう零した。
その女性は嬉しそうに両腕をそれぞれ男性たちと組んでいた。片方はいま目の前にいるレイブン、もう片方は星祭りで出会った不思議な旅人だ。
レイブンは不機嫌そうに口を曲げた。可愛い姪っ子を泣かせていたのなら、殴り返しておくべきだった。
「あんな偏屈な奴より、もっと佳い男が世の中にはいっぱいいるよ、イシス」
「ふふ、私、大丈夫ですよ。会えた嬉しさのほうが、ずっとずっと大きかったんですから」
心からの笑顔に、レイブンは少し機嫌を直した。
「………そう」
さわさわと気持ちの良い風が、薄いカーテンをゆらしながら通っていく。
廊下から、イシスを呼ぶ声が聞こえてきた。
「せっかく大叔父様が帰ってきてるのに………」
今度はイシスが不満そうに眉をひそめた。
「僕は数日はいる予定だから。行っておいで」
その言葉に、イシスは安心したように笑った。
「はい。じゃあ、ちょっと行ってきますね」
部屋を出て行くイシスを見送って、レイブンはプレートを手に取った。
「…………。彼は、幸せだ、と言っていたよ。良かったね、姉さん」
紙の裏には、文字が書いてあった。
『たった一人の弟と大好きな人と一緒に。 フレア』
おしまい
テドフレの日にあわせて書いてみました。捏造設定も甚だしいお話でしたが、いかがでしたでしょうか?(;'-')
最初は裏ページでも作るか、なんて思ったのですが、よく考えたらルキアとカスミの子供の話もでーんと表に載せてるじゃんって思い出して、これもそのまま表に堂々と掲載(;'-')
いちお注意書きもしますので、大丈夫な人しか此処まで辿りついてはいないだろう、と思ってます。
テドフレなんてカップリングを知らなかった頃には思いつきもしませんでしたが、4→ラプソディア→5とクリアしまして、こうだと良いなと願う気持ちを抑えられませんでした。
『5』の人形劇でなんかいろんな感情がぶわぁってわき上がったのもきっかけ。最初は、チサトちゃんからテッドに(そうとは知らず)語ってもらおうかと思いましたが、子供たちにちゃんと会って欲しくなっちゃったので変更しました。
ビデオカメラを作ったんだから、そこから写真の応用はできたでしょう、と勝手に想像。それにしてもオレーグさんのその後設定は不憫だけども(;'-')
その写真を使って、フレアから子や孫へ、テッドとレイブンの存在は伝えられていきます。セトとイシスはテッドの玄孫かその次くらいかな。レイブンに会える子たちはそれなりにいるだろうけど、テッドに会えたのは彼らだけ。クルデン家とイーガン家は血の行き来もありそうだから、イシスはきっとベルナデットに自慢しまくったことでしょう(笑)
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