S-13 学校へ行こう!

 グリンヒル市国までもが王国軍の手に落ちた。シュウは市長代行のテレーズを助け出す、という作戦を立てた。
シュウ「これは潜入作戦になります。フリックは保護者代わりの引率者。あとのメンバーは歳の近い者だけにしてください」
 と言って、シュウが渡してくれたリストに目を通す。
ゴクウ「…………あのさ、僕って、じいちゃんに勉強を教えてもらってたから、学校は行ってなくてよく知らないんだけど、学校って動物、連れてっても良いの?」
フリック「学校で飼育することはあっても、個人のペットはダメだったはずだぞ」
ゴクウ「ふ〜ん」
 僕は赤ペンを取りだして、ムクムクとシロの名前を消した。
ゴクウ「…………ねぇ、これって、年齢制限何歳で作ったの?」
シュウ「……17ですが……」
ゴクウ「テンガって、18だよね?」
テンガアール「そうだよ〜」
ゴクウ「ヒックスは、二十歳だよね?」
ヒックス「そうです」
 明らかにシュウの顔が引きつった。
ヒックス「名前、載ってますか?」
ゴクウ「うん。二人とも」
 やっぱり、といった感じでヒックスは笑った。ちゃんと自分の童顔は認識しているらしい。
テンガアール「も〜、シュウさんたら失礼しちゃう。僕たち、もう大人なんだから」
ヒックス「仕方ないよ、戦士の村って童顔の血筋みたいだから」
ゴクウ「あぁ、そうかもね〜」
フリック「コラ、俺を見て言うな」
 フリックに額をつつかれた。
シュウ「要は、学生に見えれば良いのです」
 軽く咳払いして、シュウは誤魔化した。まぁ、ヒックスとテンガは戦力になるから良いか。
 メンバーも決まったし、さぁ、学校へ行こう!




S-14 追っかけ

 グリンヒル市にある学校の名前はニューリーフ学園という。女の子の制服が可愛い。
ニナ「あー! あなたは、私の運命の人!!」
 学校に来る途中で、王国軍に絡まれてる女の子をフリックが助けた。その子が、学校でフリックを見つけるや、猛烈タックルをかます。お母さんを上回る勢い。
【私のことは良いの!】
 嵐のような勢いで、ニナはフリックをさらっていった。
 ね、お母さん。
【なぁに?】
 あぁいう子は、やっぱり嫌い?
【そんなことないわよ。フリックはオデッサ一筋なんだもん。小揺るぎもしないのわかるから、別にニナは嫌いじゃないわ。むしろ面白くって、好きよ】
 なるほど。あれでフリックが揺らぐようなことがあったら。
【どうなるかわからないわねぇ】
 ふふふ、とお母さんは笑った。…………怖い。




S-15 和平交渉、の前に

 いろいろ大変だったけど、なんとかルカ・ブライトを倒すことができた。
ナナミ「ね、ね、ゴクウ、ちょっと散歩に行こうよ。しばらくは大きな戦いはないって話だし。クスクスやサウスウィンドゥをゆっくり見てこようよ」
ゴクウ「そうだね」
 僕はナナミに引っ張られるように出かけた。ついでだから、仲間も増やしておこう。
 クスクスの村へ来ると、なにかあったのか大騒ぎになっていた。
ゴクウ「どうしたの?」
村人「おぉ、これはゴクウ様。良いところに来てくださった。実は、ハイランド兵が船着き場へ来とるのです。いま、梁山城へ使いの者をやろうかと思っていたところでした」
ゴクウ「ハイランド兵?」
ナナミ「行ってみよう、ゴクウ!」
 船着き場には、数人のハイランド兵と将軍らしき男がいた。
 彼はクルガンと名乗った。ジョウイがあのお姫様と結婚してハイランドの皇王になったこと、ミューズで和平交渉の準備を進めていることを語った。
ナナミ「えぇー、ジョウイが結婚!!!」
ゴクウ「良いなぁ、ジョウイ」
ナナミ「ゴクウ、いまなにか言った?」
ゴクウ「なんでもないよ」
クルガン「その旨をしたためた親書を持参しております。ただ、此処で渡すのはちょっと………」
 ハイランドは形式に煩いらしい。
ゴクウ「書面が整ってればそれで良いと思うけど」
クルガン「………で、ですが………」
ゴクウ「まぁ、良いや。わかった、梁山城へ連れてってあげるよ」
クルガン「ありがとうございます」
ゴクウ「でもその前に、僕の用事につきあってね」
クルガン「……はぁ」
 クスクスの村には人気の踊り子・カレンがいる。ここに来たのは彼女を仲間にするためだったんだから。
 宿屋のステージは観客でいっぱいだった。
クルガン「あ、あの、ゴクウ殿……?」
ナナミ「いま、なにを言ってもダメよ。まったく、どっかの大統領の息子みたいに女の子には目がないんだから」
クルガン「…………」
 カレンは踊りを真似できたら仲間になってあげると言った。お母さん、頼りにしてるよ。
【任せて】
 せっかく城にステージができたんだから、カレンみたいに可愛い子に踊ってもらうのが一番だよね。
【クルガンが呆れてるわよ】
 良いんだよ、向こうが勝手に押しかけてきたんだから。
【それもそうね】
 上手く踊ることができたので、カレンは仲間になってくれた。
ゴクウ「お待たせ。僕の用事は終わったから、城へ行こう」
クルガン「……はい」
 安心したようにクルガンが息を吐いた。
ゴクウ「そうだ、お風呂に入ってく? 梁山城の自慢の設備だよ」
クルガン「…………結構です」
 生真面目に断ってきたのが可笑しくて、僕は思わず笑ってしまった。
クルガン「……なにか」
ゴクウ「ごめん。あなた、ジョウイに似てるなって思って」
クルガン「そうですか……?」
ゴクウ「うん。冗談の通じないところが」
クルガン「…………。ゴクウ殿も、私の知り合いによく似ています」
ゴクウ「へぇ……?」
クルガン「そうやって人を振りまわすところが」
 会ってみたい、という言葉をかろうじて僕は飲みこんだ。




S-16 ナツメロ

 ミューズでの和平交渉は、罠だった。予測はしていたのでそれほどショックではなかったけれど、大人しく降伏する気はないよ、ジョウイ。
ジョウイ「頼む………ゴクウ。わかってくれとは言わないが………」
【…………】
 お母さん。
【え、なに?】
 いま、なにか歌わなかった?
【な、なんのこと……?】
 こんな緊迫した場面で、いまや伝説のバンドの歌なんか歌ってるんじゃなーい!
【ごめん〜!! だって、あの言葉を聞くと頭の中で勝手にフレーズが鳴るんだもん】
 まったくもう………。
ジョウイ「……ゴクウ、聞いてるかい……?」
ゴクウ「聞いてない」
ジョウイ「…………」
 和平交渉、決裂。