Eilie's Case
ゴクウは真っ直ぐにアイリのもとへ向かった。手には藍の小箱。
(喜んでくれると良いな)
アイリは正面広場で、リィナたちと大道芸の練習をしていた。
「あら、ゴクウ」
リィナの声に、アイリは振り向く。ゴクウは咄嗟に小箱を持った手を後ろ手にまわした。
「や、やぁ」
「……ちょっと休憩にしようか……」
ゴクウの行動をちゃんと見ていたリィナは、微笑んでそう言うと、アイリの肩を軽く押した。
「あ、姉貴……?」
「行ってきなさいな。ゴクウはアイリに用があるみたいだから」
「………うん」
二人は並んで歩き出した。
しばらく黙って歩いて、木々が生い茂る一角に腰を下ろす。
「ルキアさんを迎えに行ってきたんだろ」
「うん。いま、帰ってきたところ」
「そっか……」
一昨日の少女たちの会話を思い出して、アイリは少し気が滅入る。やはり、無理矢理なにか理由をつけて頼めば良かった、と昨日からずっと後悔しているのだ。
「手、出して、アイリ」
ゴクウは期待いっぱい、不安ほんの少しで胸をドキドキさせながら言った。
「……?」
首を傾げて、アイリが手を出す。その手のひらの上に、ゴクウは隠し持っていた小箱を載せた。
「ゴクウ、これ………」
「えぇっと、普段、いろんなところへ付き合ってもらってる感謝の気持ちってことで……。ちょうど、アイリに似合いそうな色を見つけたし」
本当はそれだけではないのだが、いまのところ、ゴクウにはそれだけを言うのが精一杯だった。
「あ、ありがとう……。開けても良い?」
「もちろん」
小箱の中身は、箱と同じ藍色のケースの口紅。
色は、ワインレッド。
「……あたしに、似合うかな……」
大人っぽい色に、アイリは気後れがする。
「絶対、似合うよ」
ゴクウは笑顔で太鼓判を押した。その笑顔に、アイリも少し自信が湧いてくる。
「じゃあ、今度の興行のときにつけてみようかな」
「うん、楽しみにしてるよ」
それから、ひととき、おしゃべりを楽しんでいたが、ゴクウがシュウに見つかってしまったので、アイリはリィナたちのところへ戻ることにした。
歩きながら、口紅を見つめる。自然と笑みが零れた。
(ゴクウが、あたしのために選んでくれた色………)
二人の想いは、まだ咲き初めの花。
END
このカプは、すでに別の話で語り尽くしてるので割愛(;'-')
アイリ、大好き(≧∇≦) パーティメンバーから片時も外しませんでした(笑)
『外伝2』で、2主のことを指している台詞が何度か出てきて切なかったです。是非是非、幸せになって欲しい。うちでは、ゴクウと再会します。させます!
ワインレッドは、赤に限りなく近い赤紫。マナもよく使う色だったり。
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