Tomo's Case
マイクロトフは真っ直ぐにトモのもとへ向かった。手には藍の小箱。
(…………緊張する……)
トモは自分の部屋にいた。時間もちょうど良かったので、マイクロトフはお茶に誘った。
「えぇっと、ケーキセットでガトー・ショコラに、カフェ・オ・レ」
「コーヒーを」
「かしこまりました。少々、お待ち下さいませ」
テラスのテーブル席に向かいあってすわり、注文をすませる。
緊張した面持ちのマイクロトフを、トモはニコニコと見つめた。
「すみません、無理なお願いをして」
「とんでもない。……これくらいお安い御用、と言いたいところなのだが、こればかりは自信がなくて申し訳ない」
「お待たせいたしました〜」
ウェイトレスが注文した品を持ってきた。トモの前にケーキセットを並べ、マイクロトフの前にコーヒーを置く。
「ごゆっくりどうぞ」
ウェイトレスが下がったところで、マイクロトフはトモの前に藍の小箱を置いた。
「もしかして、とっても奇抜な色なんですか?」
悪戯っぽく笑って、トモは訊いた。慌てたように、マイクロトフは首を横に振る。
「そんなことはない。……これが、トモ殿に似合う色だろうと思って買ってきた」
「ありがとうございます。えっと、おいくらでしたか?」
「プレゼントですよ」
「え、でも……」
「女性にお金を払わせるなんて、俺のポリシーに反するので」
「……それじゃあ、遠慮なく。開けても良いですか?」
「どうぞ」
小箱の中身は、箱と同じ藍色のケースの口紅。
色は、シュガーピンク。
「可愛い……」
極々、薄い色。いまのトモがつけてもおかしくないように、マイクロトフが気を遣ってくれたのがわかる。
にっこりとトモは微笑んだ。マイクロトフは、その笑顔だけで充分可愛いと思う。
「大事にしますね。いつか、口紅が相応しくなる時まで」
「……?」
首を傾げたマイクロトフに、トモはちょっと肩をすくめた。
「ごめんなさい。まだ私には、これは早すぎるってわかってるんです。でも、どうしても、知りたかったの」
口紅を両手に握りしめ、トモは真っ直ぐにマイクロトフを見つめた。
「あなたが、私にどんな色を選んでくれるのか……」
マイクロトフは眩しそうに目を細めた。トモは時々、ドキッとするほど大人びて見えるときがある。
「期待に添えたかな……?」
「えぇ、もちろん。ありがとうございました」
勇気を出して頼みにいって良かった、とトモは思う。
(いつか、これをつけた私を見てもらおう)
二人の想いは、ふくらみはじめた蕾。
END
む、難しかったです(爆)
マイクロトフを書くのがこんなにも難しいとは・・・。
トモがまだ14歳だったと思い出したのは、半分くらい話を書いたあとでした。高校生がお化粧してるのもあまり好きでない私は、「うわぁ、しまった〜!」と大慌て(爆)
ということで、この二人はあまり色っぽくならないように頑張ってみました(;'-')
シュガーピンクは色見本にないです(;'-') これは、化粧品メーカーの色をそのまま思い出してもらって良いかと。『ごく薄いピンク』のイメージで。
パールピンクはラメ入り、シュガーピンクはナシ。
某化粧品メーカーが、いつだったかパールピンクの口紅を使ったTVCMを流してました。とても綺麗な色だったので買ってみたのだけど、私がつけると顔色が悪く見えるだけ(>_<) 仕方ないので、グロス代わりに使った苦い思い出があります・・・。
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