Viki's Case
ルックはみんながそれぞれの方向へ行ってしまうのを待った。手には、藍の小箱。
(…………なんだって、僕が………)
ビッキーは“瞬きの手鏡”を使って戻ってきたみんなを、笑顔で出迎えた。そして、思い思いの場所へと向かうみんなを送り出す。
1階ホールの奥まった片隅にある“転移の場”は、すぐにルックとビッキーだけになった。
「お帰りなさい、ルックさん」
「………ただいま」
いつもの能天気な笑顔を見つめて、ルックは軽く息を吐く。気が重いが、断り切れなかった自分が悪いことは承知している。
「これ……」
言葉少なに、ルックは小箱をビッキーに差し出した。首を傾げながら、ビッキーは受け取る。
「……これ、口紅じゃないよね」
立方体の箱をしげしげと見つめる。
「…………みんなと同じなんて、芸がないからね。それに、君は、口紅は例えに挙げただけで、指定はしなかっただろ」
「そうでした」
笑って、ビッキーは肩を竦めた。
「開けても良い?」
「好きにすれば」
ふいとそっぽを向いて、素っ気なくルックは答える。物はもう渡したのだから、立ち去っても良さそうなものだが、そうしないのはやはりビッキーの反応が気になるから。
小箱の中身は、箱と同じ藍色の指輪ケース。
ケースに収まっていたのは、透かし彫りの美しい銀の指輪。
「綺麗………」
うっとりと指輪を見つめるビッキーを見て、ルックはホッとしている自分が少し腹立たしい。
「あ、でも、ルックさん。これ、私の出したお金じゃ、全然足りなかったんじゃない?」
「ちょうどだったよ」
もちろん予算オーバー。
「本当に?」
「本当だよ」
ビッキーはまだ疑わしそうにルックを見ていたが、やがてにっこりと笑った。
「ありがとう、ルックさん!」
そう、この笑顔が見られたなら、安いもの。照れくささを誤魔化すため、さらに仏頂面になりながら、ルックは自分の気持ちを渋々認めた。
「じゃあね、ちゃんと渡したよ」
そう言って踵を返しかけたルックを、ビッキーの戸惑いの声が引き止めた。
「……あ、あれれ………」
「どうしたのさ」
振り返ってビッキーを見れば、その右手の薬指に指輪がある。ちょっと手を動かしただけで、クルクルとまわる指輪。
「………忘れてた……」
茫然とルックは呟いた。指輪にはサイズがあるのである。
ビッキーは人差し指や中指にもはめてみたが、どの指でも指輪はクルクルとまわる。
「貸して。君の指にあうのに、替えてもらってくるよ」
格好悪さに顔から火が出る思いだったが、努めてぶっきらぼうにルックは手を差しだした。
「あ、そうだ!」
ルックの差しだした手に気づいていない様子で、ビッキーは蒼い大きな石のついたネックレスをはずした。指輪を細い鎖に通すと、また首にかける。
「ほら、こうすれば良いんだよ」
にっこりと微笑まれ、ルックは手をおろして、またふいとそっぽを向いた。
「君がそれで良いならね」
「だって、この指輪すごく綺麗だから。他のにするなんてイヤだったの」
指輪を大事そうに握りしめて、ビッキーは言った。
(ルックさんが、私のために初めて買ってくれた物だもん)
二人の想いは、人知れず咲く花。
END
前サイトで上げてたときのあとがき見たら、なんとこれが初るくびきでしたΣ(|||▽||| )
いまは基本的にタイムテーブルの順番で復刊させてるので、こういう驚きが多々あるデス。
ちなみに、私はビッキーを一度もパーティに入れたことないです(;'-') だって、魔法能力値があんなに高いのに、全部暴発するなんて恐ろしくて・・・。
あ、でも『4』では入れました。なんか全キャラLv40以上にしないとって気分になってて。絶対に、他のメンバーを飛ばしちゃうので、『それ!』は使わなくなったけど(;'-')
ビッキーは指が細そうですよね〜。うらやましい。マナも絶対にサイズ直しがいります。小さくてはまんないから(爆)
|