Romeo and Juliet
原作/ミルイヒ・オッペンハイマー
脚本及び演出/エミリア&アップル
舞台制作監督/ジュド
衣装制作監督/シモーヌ・ベルドリッチ
小道具協力/アダリー
ロミオ/ルキア・マクドール
ジュリエット/メグ
モンタギュー夫妻(ロミオの両親)/アレックス&ヒルダ
キャピュレット夫妻(ジュリエットの両親)/フリード・Y&ヨシノ
マキューシオ(ロミオの親友)/フリック
ティボルト(ジュリエットの従兄)/ビクトール
エスカラス(舞台となるヴェロナの太守)/ハウザー
パリス(太守の縁戚、ジュリエットの婚約者)/カミュー
ロレンス(修道僧)/ゲオルグ・プライム
ジュリエットの乳母/バーバラ
ベンヴォーリオ(ロミオの従兄)/ヴァンサン・ド・ブール
バルサザー(ロミオの召使い)/フッチ
薬屋/テンプルトン
序詞役/カスミ
Prologue 序詞役、登場。
衣装は、桜色の薄物を幾重にも重ねて裳裾を長くひく物。手に持つロッドはビッキーから借用。コンセプト、時の女神。
こんなことでもなければ、絶対に見られないカスミの艶やかな姿に、客席より溜め息。
カスミ『舞台も花のヴェロナにて
いずれ劣らぬ名門の
両家に絡む宿怨を・・・』
アップル「カスミの声って、本当に良く通るのよね」
エミリア「歌がなかったら、アンネリーさんにお願いするところだったけど、いまはもうカスミさん以外には考えられ
ないわ」
カスミ『・・・子細はこれより明らかになりますれば、
御清覧、伏して願い奉る』
第一幕
第一場 ヴェロナ広場
モンタギュー家の召使い(ヒックス)とキャピュレット家の召使い(サスケ)の刃傷沙汰。
ちなみに、今回使われている得物は皆、本物だったりする。
ヒックス「ちょ、ちょっと、サスケ、やりすぎ……!」
サスケ「っるせぇ! 俺は、激ムカついてんだぁ!!」
猛然とサスケが忍者刀を振りまわすのを、ヒックスはなんとか“テンガアール++”で受け流している。
モンド「サスケの奴、燃えておるなぁ。ルキア殿が主役なのが、よほど嬉しいらしい」
カスミ「……ヒックスさん、大丈夫かしら……?」
喧嘩の輪は大きくなる。
キバ「兵の教練も兼ねさせるとは、考えましたな」
シュウ「そうでもなければ、やっておれん」
キャピュレット、モンタギューの両家夫妻、両袖から登場。
アレックス『おのれ、キャピュレットの奴め! 止めるな、放せ!』
ヒルダ『一歩も動かせは致しません。我と刃傷沙汰をお求めになったりして』
ピート「がんばれ、お父さん、お母さん!」
エスカラス、登場。騒ぎは収まる。
一同、退場の後、ロミオとベンヴォーリオ登場。
ルキアの登場に、客席より黄色い悲鳴多数。衣装は、蘇芳色でハルモニア風。手袋は白。バンダナは巻いておらず、髪を一房同じ蘇芳色のリボンで巻いて肩から垂らしている。得物は、棍ではなく太刀を腰に提げていた。
ちなみにベンヴォーリオの衣装は、ヴァンサンの普段着。
シモーヌ「素晴らしい。私のコーディネートは完璧です」
ルキア『・・・いまその話をしているこの私は、もう生ける屍も同然なのだ』
ヴァンサン『私の言うことを聞き給え。その女のことは忘れるんだ』
ルキア『あぁ、どうしたら忘れられるのか、それからまず教えてくれ』
ゴクウ「ルキア、はまりすぎ……」
アイリ「………ヴァンサンと並んで、かすまないのってあの人くらいだね……」
第五場 キャピュレット家仮装舞踏会会場
煌びやかな大広間。仮面(マスク)をつけて、踊る恋人たち。
ビッキー「ふふ、こんな素敵なドレスを着て、ルック君と踊れるなんて嬉しい」
ルック「……馬子にも衣装」
ビッキー「あぁ、ひどい〜。もう、ダンス、教えてあげたのに〜」
ルック「………まったく、君から教えてもらうことがあるなんてね」
ビッキー「ダンスはね、大得意なんだよ」
ルック「これで、魔法も得意になってくれたらね」
ビッキー「…………それはダメ」
ルック「……?」
ビッキー「いまはまだ、帰りたくないから……」
カミュー「よく似合ってますよ、ドレス」
ナナミ「ありがとう、嬉しいな。カミューさんはまだこのあとも出番、あるんだよね」
カミュー「えぇ、斬られ役ですが」
ナナミ「でも、大変な役だもん。頑張ってね」
カミュー「はい」
ニナ「あぁ、フリックさんと踊れるなんて、幸せ〜」
フリック「…………」
ニナ「ね、このドレス、どうですか?」
フリック「あ、あぁ、似合ってるんじゃないか……」
ニナ「もう、フリックさんたら、照れちゃって〜」
フリック(あぁ、早く終わってくれ〜!)
クラウス「よくお似合いですよ、シエラさん」
シエラ「ありがとうございます。クラウスさんもとても素敵です。……ルルノイエにいた頃は、こういう夜会にいつもお出かけになっていたのですか?」
クラウス「さぁ、それは……。秘密ということにしておきましょう」
シエラ「まぁ、意地の悪い」
ともあれ、恋人たちが踊りながらひそひそと言葉を交わしている間にも、ロミオとジュリエットの出会いのシーン。
メグ、波打つ栗色の髪をおろし、金のティアラを飾る。ドレスは鮮やかな若草色。レースや刺繍を豪華に施してある。コンセプトは、芽吹く若木。鉄砲玉娘の名を返上するほどにたおやか。
二度の口づけに、頬はほんのり薔薇色。
メグ『たった一つの愛が、たった一つの私の憎しみから生まれようとは! 知らないままに、お顔を見るのは早すぎて、知ったときにはもう遅い。それにしても、憎い仇敵を愛さなければならないとは、生まれた端から、行く末の案じられる恋だこと』
第二幕
第二場 キャピュレット家の庭園
ジュリエット、バルコニーに出て独白。それに聞き入るロミオ。矢も楯もたまらず、蔦を使ってバルコニーに降り立つ。
メグ『それにしても、どうして此処へ、そしてなんのためにいらしたの? 塀は高くて登るのは大変でしょう。それにあなたという人の身分柄を考えれば、もし家の者にでも見つかれば、死も同然のこの場所へ』
ルキア『こんな塀くらい、軽い恋の翼で飛び越えました。石垣などで、どうして恋を閉め出すことができましょう。力の及ばぬことなら知らず、できることならどんなことでも恋はなし得てしまう。だから、あなたの身内くらいが、なんの邪魔になりましょう』
メグ『でも、見つかると殺されますわよ』
ルキア『どうして、奴らの剣の十や二十よりも、あなたの眼のほうがよほど怖い。優しいあなたの眼差し、それさえあれば、なんの奴らの憎しみなど。私は不死身です』
メグ『剣の十や二十があなたの身に降りかかるなど、どうあっても私はイヤ。見つからぬようにしてくださいませ』
アイリ「メグ、気合い入ってるね」
テンガアール「そりゃあ、もう、相手役がルキアさんだもん」
第三幕
第一場 ヴェロナ、街上
マキューシオとティボルト、すれ違いざまに抜刀。そのまま、斬り合いになる。
エミリア「これよ、これ! この二人の手合わせなんて、道場でも滅多に見られないんだもの」
アップル「ティボルトをビクトールさんにするって聞いたときは、ビックリしたけど、確かにこれは見物ね」
ビクトール「ヘッ、盾がないんじゃあ、お前には分が悪いな」
フリック「ぬかせ!」
力で押してくるビクトールに、フリックはフェイントをかけながら上手くかわし、こちらも疾風のような斬撃を浴びせる。
打ちあうこと、数十合。ロミオ、登場。
ルキア『二人とも、止めるんだ! よせ、マキューシオ、ティボルト!』
フリック「ル……じゃなかった」『ロミオ!?』
ビクトール『もらった!』
ロミオに気を取られたマキューシオに、ティボルトが必殺の剣を振り下ろす。血まみれで倒れるマキューシオ。
アダリー「うむ、わしの作った血糊は完璧じゃ」
ルキア『マキューシオ!! ……貴様、ティボルト……! 今日のこの禍は、決してこれだけではすむまいぞ。問題は今後だ、今日のはほんの手始め、いずれは未来が結末をつけるより仕方がない』
剣に心得のある者は、ルキアを中心に渦巻く殺気に息を呑む。
ルキア、鯉口を切り、走り抜けざまにビクトールに一太刀、浴びせる。刃についた血糊を振り払い、太刀を鞘におさめる。血糊を吹き上げ、どうと倒れるビクトール。
ビクトール「……俺は、一太刀かよ………」
ゲンシュウ「あの居合い、素晴らしい……!」
シン「ゲンシュウ殿には、あの太刀筋、見切れますか……?」
ゲンシュウ「いや、無理でござろう。この城に、あれを見切れる者はおりますまい。それにあの太刀の美しいこ
と……! 是非、ゆっくり拝見させていただきたいものだ」
フリック『うぅ、チクショー、やられた……』
ルキア『マキューシオ!』
ロミオ、マキューシオを抱き起こす。
フリック『えぇい、くたばれ、手前ら両家とも……! まったく、お前の邪魔さえなかったら……。……長年の恨みつらみが、たった一言で止められるものかよ』
ルキア『すまない、マキューシオ………』
フリックの頬を撫でるルキアの手が微かに震えている。
フリック「ルキア、これは芝居だ。だから、心配するな」
ルキア「うん……。血糊があんまりリアルで、少しビックリしただけだから……」
ベンヴォーリオ、登場。
ヴァンサン『ロミオ……! これは、どうしたことだ!?』
ルキア『ティボルトがマキューシオを殺し、私がティボルトを殺した。ただ、それだけのこと……』
ヴァンサン『なんと……! ロミオ、君は早く逃げるんだ!』
ルキア『あぁ、運命に玩ばれる馬鹿だったな、私は!』
ヴァンサン『ロミオ、早く……!』
第五場 キャピュレット家の庭園
バルコニーでロミオとジュリエット、今生の別れ。
メグ『もう行ってしまわれるの? まだ朝ではないわ。いま聞こえたのは夜鳴鶯(ナイチンゲール)。雲雀ではなくてよ』
ルキア『いいや、朝を先触れする雲雀だった。御覧、あの向こうの東の空、別れていく雲の裂け目を縁取る、あの意地の悪い朝の光を。それでもあなたが、朝ではないと言われるのなら、それはそれで構いはしない。あなたの腕の中から別れ行く苦痛に比べれば、まだ死のほうが甘美だろう』
メグ『いいえ、いいえ……! そんなことを仰らないで。もう、朝なのですもの。行ってください。あぁ、でも、私たち、再び逢うことがあるのかしら?』
ルキア『もちろん、あるとも。ロレンス様も協力してくださる。だから、いまは、しばしの別れ………』
ルキア、メグの涙を拭い、深く口づける。
ルキア『さよなら、愛おしいあなた』
メグ『……さよなら、大事な私のあなた』
シーナ「……いまの、マジキスだったな」
ゴクウ「……うん……。メグ、半分、腰砕けかけてるもん」
引き続き、ジュリエットの部屋。キャピュレット夫人と乳母、登場。
ヨシノ『まぁ、ジュリエット、まだ泣いているのね。さぁ、良い話があるのですから、もう泣くのはお止めなさい』
メグ『良い話ですって、お母様。この悲しみから解放されるほどの話なんですの?』
ヨシノ『もちろんですとも。次の木曜に、お前とパリス様の結婚式があるのですからね』
メグ『お、お母様、どうしてそんなに急に!? 私、結婚なんてイヤです。えぇ、神かけて! そんなお声も知らないような方と、どうして結婚なんてできましょう!』
ヨシノ『なんてこと! ちょうどお父様がいらっしゃった。あなたの口から、それを伝えなさいませ』
キャピュレット、登場。
フリード『どうした、娘。まだ、泣いているのか? なにやら、結婚がイヤとか聞こえたぞ。無論、空耳であろうが』
メグ『いいえ、私、確かにそう申し上げました。お父様、この通り、後生ですから、結婚なんて取り消してください!!』
トモ「メグちゃん、本気だぁ」
ワカバ「ここは、地でいけるって言ってましたもんね」
トモ「片や冒険を追って家を飛び出し、片や恋人を追って家を飛び出しちゃうんだもんね」
ワカバ「……あれ?」
トモ「……もしかして、メグちゃん、はまり役?」
第四幕
第一場 僧ロレンスの庵室
木曜日の結婚式の打ち合わせをする、パリスとロレンス。
カミュー『ジュリエット姫の嘆きがあまりに深いので、少しでも慰めて差し上げようと思うのです』
ゲオルグ『それはわかるが、さて、当の姫はどう思っているのやら……』
ジュリエット、登場。
カミュー『御機嫌よう、姫。少しはお身の嵐は静まりましたか?』
メグ『えぇ、おかげさまで。台風の目におりますわ』
カミュー『すれば、あとしばらくの辛抱を。明後日には、めでたき凪が訪れましょう』
メグ『私に凪をもたらすのは、彼ですの。ですから、席を外してくださいませんこと?』
カミュー『これは失礼を。では、木曜日、きっとお迎えに伺います』
パリス、退場。わっと泣き崩れるジュリエット。
メグ『もう、ダメです……! 木曜日には、いまやっとまともに会話したような方のもとへ嫁がなければならないなんて!』
ゲオルグ『いろいろ考えてみたが、どうにもわしの知恵には及ばぬ』
メグ『…………。そうですか……』
ジュリエット、懐剣を取り出す。
メグ『神父様までそう仰られるのでしたら、この懐剣で始末をつけることと致しましょう。私の心はロミオ様のお心に、神様がおあわせくださいました。手は手で、神父様、あなたがおあわせくださいましたのに、その同じ手、あなたのおかげでロミオ様に差し上げましたこの手が、仮にも別の証の印になり、同じ真実(まこと)のこの心が、仮にも他へなびくくらいなら、手も心もこの懐剣が始末を致します』
ゲオルグはメグの横顔を見て、深く溜め息を吐いた。
ゲオルグ(………まったく、ルキアも罪な男になったもんだ……)
第五幕
第三場 キャピュレット家の墓所のある墓場
ジュリエット、真白の死に装束で、花の褥(しとね)に眠る。そこへ、ロミオと召使いのバルサザー、登場。ジュリエットが、薬により仮死状態であることは、ついに知らされぬまま。
ルキア『お前はこの手紙を、明日の朝、きっと父上へ届けるのだぞ。私は、姫へ別れを告げたら、マンチュアへ戻る。もう、帰るが良い』
フッチ『………かしこまりました。ロミオ様、お心付かれますように』
ルキア『大事ない。この胸がはり裂けそうな悲しみに満ちていても、私はこうして生きている』
バルサザー、ロミオの前から下がりながら独白。
フッチ『だが、この胸騒ぎはなんだろう。なんだかとてもイヤな予感がする。こうしてはおれない。なんとしてもロレンス様を連れてこよう』
バルサザー、退場。
パリス、侍童(トウタ)を伴って登場。
トウタ『パリス様、誰かおります』
カミュー『なに? 愛しきジュリエット姫の墓を荒らそうという慮外者は誰だ!?』
ルキア『姫と最期の別れをしようという私の邪魔をする、貴様のほうこそ誰だ?』
カミュー『き、貴様は追放の身であるロミオ! 姫に花と涙を手向けるのはこの私一人で充分。汚らわしい手で姫に触れるな!』
パリス、抜刀。
ルキア『そう、私は追放の身の上。だから、こうして人目を憚ってきた。別れはしばし。邪魔をしないでくれ』
カミュー『重罪人が、世迷い言を! この場で引っ捕らえてくれようぞ!』
ルキア『死に魅入られた私に刃向かうとは、愚かな………。邪魔をするなと言ったのに……』
ロミオ、抜刀。
ルック「どうして、自分で自分の傷を抉るかな、君は………」
カミュー(この剣気………。やはり、ゲオルグ殿あたりに役を代わってもらうべきだったかな。……だが、私も騎士の端くれ。多少の抵抗はさせてもらう)
カミュー、ルキアに斬りかかる。
トウタ『た、大変だ! 果たし合いになってしまった! 夜警を呼んでこなくては……!』
侍童、退場。
ロミオとパリス、斬り結ぶこと十数合。
姿からは想像もできなかったあまりに重い斬撃に、とうとうカミューはバランスを崩す。それを狙い澄まして斬り払うルキア。カミュー、血糊を流しながら、倒れる。
ロミオ、太刀を墓標のようにパリスの傍らに突き立てる。そして、ジュリエットの眠る棺へ。
ルキア『愛おしい姫………。まるで眠っているよう。あなたの美しさには、死といえども手出しはできないかのようだ』
メグ(ルキアさんの手、震えてる………。……どうしよう、私、とてもつらいことをさせちゃったのかな……)
ルキア『あなたの傍らこそが、私にとって永遠の憩いの場。ならば、この薄命な星の廻りを、いまこそ振り捨てよう』
ロミオ、眠れるジュリエットを抱き起こす。
ルキア『眼よ、名残だ、麗しの姿を焼きつけよ。腕よ、最期の抱擁だ。そして、生命(いのち)の門なる唇よ、この口づけが死との契約の証』
震える指先がメグの唇に触れ、そして、優しいキス。
ルキア「生きていて、メグ………。決して、この紋章に捕まったりしないで……」
メグ「ルキアさん……?」
ルキア「ダメだよ、まだ死んだ振りしてなくちゃ」
開きかけた瞼にも、キスが落ちる。
ロミオ、薬屋から買い求めた毒薬を取り出す。
ルキア『さぁ、来るが良い、無粋な案内(あない)よ……!』
毒薬を呷り、ロミオ息絶える。
二呼吸ほど後、ジュリエット目覚める。
メグ『ロミオ様……何処に……?』
ジュリエット、起き上がる。傍らに倒れ伏すロミオを見つけて、息を飲む。
メグ『ロミオ様!! あぁ、これはどうしたこと!? もしや、ロレンス様の知らせは、あなたに届かなかったのですか? 小瓶をしっかりと握られて……。あぁ、毒を飲まれたのですね。すっかり飲み干してしまわれて、私には一滴も残っていないとは、あんまりなこと……! この麗しの唇にも、もう残っていないのかしら……?』
ジュリエット、口づける。
メグ「私、大丈夫だよ。ルキアさんのこと、好きだから、絶対に哀しませることはしないよ。大好きなんだから……」
ぽろぽろと涙を零して、メグはルキアに頬ずりする。
ルキア「ありがとう、メグ……」
ルキアは目を閉じたまま、甘やかに返した。
舞台袖より、人の声。
メグ『あれは人声? 急がなくては……。あぁ、嬉しい、この短剣!』
ロミオの短剣を取る。
メグ『この胸、いまからこれがお前の鞘……!』
ジュリエット、自ら胸を刺す。
メグ『さぁ、そのままに、いて。私を、死なせて………』
ロミオの身体の上に折り重なって、ジュリエット息絶える。
バルサザーとともにロレンス、侍童に案内をされて夜警の者たち。キャピュレット、モンタギュー両家夫妻、エスカラス、次々に舞台へ現れて、この悲劇に涙する。
舞台暗転。いつのまにか中央にいた序詞役にスポットライト。
カスミ『無益な両家の争いは
その子らの死によって罰せられ
遅すぎた和解を迎えまする。
とは申し上げても
哀れなのは、互いに滅ぼしあってしまった
恋の花たち。
これに勝る悲劇が
またとありましょうや?
それもまた、天と星の導きし
廻りあわせでありましょうや……』
あふれた雫が、頬をつたい、スポットライトの光を反射する。
閉幕
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